大腸にはどんな病気があるの?



健康な人の大腸の中は
どのような色・形を
しているのでしょうか?
     
   皆さん大腸の中はどのようになっているか、ご覧になったことがありま すか? 
内視鏡という器械で腸内を覗いてみますと、きれいなピンク色で、思わ ず触ってみたくなるほどです(左図)。

 イメージとしては大腸イコール大便でしょうが、きちんと下剤で洗浄しま すと、
臭いは全くなく、消化液などがないために、胃袋よりは数段もきれ いな色・形をしております。 
輪状のヒダがあり、表面(腸の内側で粘膜 といいます)は滑らかで、血管が透けてみえるのが健常者腸の所見で す
(綺麗でしょう)

 腸に炎症がおきますと、ヒダがなくなったり、粘膜がゴツゴツしたり、赤 く腫れてきたりして、血管網が見えなくなります。
充血や出血さらには 潰瘍が起こることもあります。
 また、皆さんがご心配なさるであろう「大腸癌」や癌と関係のある「ポリ ープ」も、
この腸の表面(内面)から発生・発育いたします
そこで腸の 内面を調べることのできる内視鏡がその発見に威力を発揮するわけで す。 
しかも内視鏡操作にて、その病変を切り取ってしまうこともでき、初 期の癌であればきれいに治ってしまいます。
この点に大腸内視鏡検査 の意義・重要性があるのです。
 ただし、いくつかの問題点があります。
どんなに器械の進歩があっても、内視鏡を操作するのはヒト(医師)であ ります。 
従って、患者さん自身の状態や内視鏡操作側(医師)の技量 等の要因によって、
患者さんの受容性や成果(治療成績)に微妙な差、 時として少なからざる差が生じるのです。 
             


大腸黒皮症 (70才女性)

「黒皮症」は便秘のために、緩下剤を使用されている方々に
よく見られる所見です


健康な方の腸の内側はきれいなピンク色しているのですが、長期間(数年)に下剤(センナ、アロエ等)を
服用し続けますと左図のように、「褐色か」ら甚だしい場合には太陽の照らない腸の中なのに
日焼けしたごとく「真っ黒」になります。
メラニン様色素が腸壁に沈着するために、このような変化が起こります。
 緩下剤を中止しますと、約6ヶ月後には、幸いにも元のピンク色に戻ります

 できるだけ緩下剤に頼らず、便秘を予防するように致しましょう。
 便秘予防には、朝食をとる、食物繊維をとる、運動をする、等を心がけてください。

大腸黒皮症においては、ポリ−プはおもしろいことに色素は沈着しません(左)。
中央に小ポリ−プが見られます はっきりと認めれます 見つけるのも簡単ですよね 
 まさに天然の色素撒布像です(上図)

より高度になると、真黒になり、snake skin (蛇の皮)と称されるほどの色素沈着を来す
            


■潰瘍性大腸炎とは?
何らかの原因により大腸の粘膜に炎症が起こり、びらん(ただれ)や浅い潰瘍ができる病気で、
難病に指定され、最近急増し(上図)、なにかと最近話題である「炎症性腸疾患」です

 下痢や粘血便(血液・粘液の混じった軟便)、テネスムス、貧血、微熱や体重減 少などの症状があらわれます。
炎症は通常、肛門に近い直腸から始まり口側 の深部結腸に向かって炎症が進展していきます。
最深部の盲腸までの全大 腸に炎症が及ぶこともあります。
 適切な治療により、進展とは逆に深部の結 腸から直腸に向けてびらん・潰瘍が修復されてきます。
治療薬には、第一選択である 5‐アミノサリチル酸(5-ASA)製剤のほか
ステ ロイド薬、免疫調節薬、生物学的製剤、顆粒球除去療法(GCAP療法)などが あります。
下痢や血便が軽減・消失したり、これらが再発したり、再び消失したり、
長期に わたってこの病気と仲良くつきあっていくこともあります。

 しかしながら、250名の潰瘍性大腸炎治療実績のある岡本平次クリニック(難 病指定施設)においては、
5-ASA製剤(アサコール)経口薬単独、5-ASA製剤+ス テロイド坐薬の併用と外来における患者さんとのお話で、
ほぼ全例外来通院で うまくコントロールされています。

 内視鏡所見は瀰漫性の糜燗、粘液付着、浮腫、出血が認められ、
自然と正常粘膜への移行が見られるのが特徴です(中図)。
まれにスキップ(飛び火)して回盲部(虫垂のみの場合もある)に
同性状のびまん性糜燗がみられることがあります(下図)。

             


大腸憩室症・憩室炎
最近の日本人は食物繊維が不足しがちであると、言われて久しいが、
従来欧米人にごく普通に見られる繊維不足が主因であろうとされている「憩室症」もかなり増加しているようだ。

 憩室症とは、腸壁にできる小さなポケットで(上図)、多くは無症状ですが、時には炎症を併発し、
腹痛、発熱、出血等を来します(憩室炎)。 
時には腸壁周囲に膿を作り(膿瘍といいます)、腸閉塞や穿孔等の由々しき事態になることもあります(左中下図)。

憩室症: 小さな穴(ポケット)が数個みられております(上)
憩室炎: 腸壁は赤く、腫れて、管腔は狭くなっております(中)
憩室周囲膿瘍: 憩室から膿が流出しております(下、重症例)

            


  虚血性大腸炎
6日前に、腹痛、嘔気で発症す。その後2日間下血あり。

 この病気を分かりやすくいうと心臓自身に血液の流れが悪くなると狭心症や心筋梗塞
(虚血性心疾患)をおこしますが、これと同じように腸にも血液の流れが悪くなったり、滞ることにより惹起される病気です。

 あまり知られておりませんが、最近増えております。
内視鏡的には縦長のただれや潰瘍を作るのが特徴的で経験豊富な内視鏡医であれば、
特徴ある内視鏡所見や臨床症状で正しく診断できます。

 かなり強い腹痛が起こり、そのうちに下血を来すようになります。この状態が虚血性大腸炎なのです。
腹痛は同情申し上げるほど強烈で冷汗をかき、救急車騒ぎになるほどです。
 便秘後に起こることが多く、年輩者、高血圧症、糖尿病等の基礎疾患を有する人に
多いといわれますが、そうでない場合もあります。
 検査前の下剤の服用や避妊薬ピルの服用が原因のこともあります。

経過は比較的順調な方が多く、跡形もなく治りますが、まれに高度な合併症を来すこともあります。

  適当な運動と自分の前世は「ヤギ」か「ヒツジ」ではないかと思うぐらいに、繊維の多い物を努めてもりもり食べましょう

虚血性大腸炎:特徴ある帯状の潰瘍が2条見られます(上)。
接近像:白い部が潰瘍で、周囲にむくみを伴っております(下)。

         


小生にも またもやポリ−プが・・【No1】<ブログより転載>

■ 3年ぶりに大腸内視鏡を受けましたが、なんと上行結腸に5mmのポリープが出来ておりました。

 下の画像は小生の立派な?我が分身「ポリープ」です。 みなさまも何ら症状がなくとも受けましょうヨ・・・・
今回、3年ぶり確か5回目の大腸内視鏡(コロノスコピ−)を経験しました。つまり小生が大腸内視鏡を受ける側(被検者・患者)となったのです。

 それは、今夏の厳しい暑さのある日の出来事です。 たまたま検査のキャンセルがあり、その合間にやっちゃいました。
 小生は元来「過敏性腸症候群(下痢がち)」の傾向があり、前処置はとても簡単に終了するんです。
 ちなみに便秘がちな方の一部には、なかなか腸内が綺麗にならない方がいらっしゃいます。
朝食はクッキー1枚しか食べてなく、昼食がわりに、2Lに溶かしたムーベンの希釈液のうち600mlをゴクンゴクンと一気に飲んでしまいました
 ふだんビールを飲み慣れているせいか、この600mlは何の抵抗もなく、簡単に飲めました。 
外来の合間にさらに300ml飲用(診察のお方すみません・・)、これも簡単に・・。 すると20分後には腹のグルグル音と共に便意を生じ、初回の排便あり。
 さらに600mlを追加飲用致しましたが、さすがに膨満感を覚え、もう「結構状態」です。
 結局、計1500mlのムーベン液を約2時間かけて飲用したことなります。
 この間、4回の排便がありましたが、2回目からは早くも水様下痢便となり、
最終の4回目はほぼ透明状態、はっきり言って色がついてない便汁なんて小水みたいで変なイヤな感じです。皆さんもそう思いませんか?
 職業柄、閉塞性黄疸の方は「こんな感じなんだろうなあ」と想像してしまいましたが・・・。

 いよいよ大腸内視鏡開始。 検査台に横向きになるわけですが、いつも見慣れている風景が斜めになり、妙な気分、
ごく軽い鎮静剤、鎮痙剤を受けた故か 見慣れたスタッフの面々が美人に見える。幻か現実かあ! これまた妙な気分。

 自分でスコープ操作し、腸内へ挿入し、観察するのはさすがに不可能。 術者は当院の田口医師 いよいよ検査開始。
 小生は横たわって腸内のモニターを眺めているだけ。腸内が綺麗になっているかどうかやや不安でしたが、結果はグー。   → 【No2へ 続く】
  


★可愛い分身 ポリ−プ 3年ぶり大腸内視鏡【第2弾】
過去数回の経験がありますが、検査中いつもペラペラしゃべるらしい(自分では何ら記憶はありませんが、アアだコ
ウだと、指示出したがるらしい。本当?)。 

 今回は、「決してしゃべるまい」と心して検査にのぞみましたが、やはりしゃべったらしい。何をしゃべったかは何故かし
ら教えてくれません。
皆んなニヤーとするだけです(どうせ軽くオヤジギャクでも飛ばしたんだろうと気にしてませんが・・)。
 「さあ、行きますよ」と田口女帝の静かなしっかりした声が聞こえるやいなや、お尻がモゾモゾ(正確には肛門)しは
じめました。 
確かにスコ−プの出し入れは感じます。
しかしながら、そのモゾモゾ感だけで検査中はお腹がはることもなく、すんなりとあっという間に盲腸あたりまで到達し
てしまいました。
もちろんなんら痛みも感じることもありませんでした。
 内視鏡検査中は、スコープに取り付けられた数ミリの穴から少量の空気を注入したり、吸引したりしながら、時に
は水で内腔を洗浄したりします。
術者はスコ−プを出し入れしたり、時にはスコープに回転をかけたりしながら、スコ−プを奥のほうに進め、
ついには大腸の終点である盲腸までの挿入を行なうわけです。
もっと重要なことは、何らかの病変がないかどうかを見出したり、観察したり、状況に応じては病変を切り取ったり、
一部を採取したりするのが大腸内視鏡検査(コロノスコピー)なのです。
 モニター画面に映し出される自分のキレイな腸の内面(粘膜と言います)をみながら思わずツブヤキました「俺は
腹黒くなく、性格と同様まっすぐな腸をしているなあと!!ヽ(;´Д`)ノ」 

 ああ盲腸だなあ これからスコープの引き戻しが始まるなと思った瞬間 現れました ポリ−プが 大きさは5mm
前後でしょうか? 
側臥位のため通常の見慣れた画像とは90度回転しており、違和感はありますが、紛れも無く小さいながらも立派
なポリ−プです・・・
 その表面の模様から「腺腫 tubular adenoma 」と自己判断しました。 
思わず叫びました。「写真をいっぱいとってくれ 遠景も接近像も さらにNBIも追加」と 
NBI(狭域色調強調)画像です ポリ−プ表面はキレイな模様をしているのが明瞭に強調されてます このようなパ
ターンは悪性ではなく、良性なのです。

 次はこの可愛い「分身の切除」であります。
 これくらいの大きさであれば、鉗子で引きちぎってしまうことができます。小生の場合も、鉗子で採れてしいました
が、何ら引っ張れるとかいう感覚はまったくありませんでした
(ちなみに胃の生検をされた経験もありますが、この際は摘んで引っ張られる感覚はありました)。 
にじむ程度の出血はありましたが、ポリ−プは完全にとれてしまい治療も完了です(後日の顕微鏡での検索でも予
想通り「腺腫」)。
病変は深部挿入の途中でも見出されますが、このように観察を主眼としたスコープ抜去時にもよく発見されます。
 幸いにも、他の部位は問題ありませんでした。

 この間、薄ボンヤリで、何ら苦痛はなく横になってからスコープ抜去まで7〜8分でした。 ただお尻モゾモゾはありま
した。これは肛門管は皮膚と同じく感覚を感じる部位だからです。
  → やはり最も敏感なところは肛門であることを実感致しました。
 つまり肛門は非常にデリケートな部であり、明日からの内視鏡診療に役立てようと思った次第です。

 内視鏡の機器は種々の改良が加えられて、かなりな鮮明画像として腸管内の様子がモニター画面に映し出され
るようになりました。
 しかしながら、スコープを操作するのは従来通り「ヒト」でありますので、どうしても上手いそうでないのテクニック差
が担当する医師の間で生じてきます。 
患者さんの方も年齢や体格などまちまち、顔がそれぞれ異なるように個々の腸の状態も千差万別なのでありま
す。 
従って、盲腸までの挿入、観察が容易な方そうでない方が出てくるのが現実です。 これほど担当する「ヒト」によっ
て、苦痛の度合が異なる検査はないでしょう。
 大腸内視鏡ほど術者の力量を問われる検査はないでしょう。

 それではなぜ大腸内視鏡を行うのでしょうか? 
それは、大腸、食道、胃といった管腔臓器は内視鏡で病変を直視することにより、最も信頼がおける診断が付け
られ、場合によっては小生のポリ−プ切除のように治療までも完了してしまうからです。

 岡本平次クリニックにおいては、内視鏡専門の診療所で20数年の経験を有す医師が担当しており、内視鏡を
必要とされる方が連日数多く来院されています。 安心して検査を受けて下さい。
 自分は大丈夫と思っているあなた!! 思い立ったら、吉日 そく実行 外来を受診してください。 あとで・・は 
内視鏡をやらないということです。

 以上、今回ポリ−プがありましたので、6〜12ヶ月後を予定している岡本平次よりの「体験報告」でした。    
  (..)(^^)(^。^)(*^o^)(^O^)ーー!!


■大腸ポリープとは?
「ポリ−プ」とは一般に盛り上がる病変の総称です。

 大腸ポリープには、大きさ(数ミリから数センチにおよぶもの)、形(盛り上がりの目立つ病変から平坦なもの、
なかにはむしろ凹みが見られるもの)、性質(放置しても良いもの、取り去られるべきもの、
あるいは良性から悪性のものまで)など 種々様々(イロイロ)です(キャー!ビックリ!! (*゚ロ゚)ノミ☆(;>_<) バシバシ)。

従って、患者さん1人々(個々のポリ−プ)について、検討しなければならないのですよ
参照: サイト内大腸ポリ−プのページ ・・・ クリックを!



■前処置不良 →困ります 検査食は必要ですよ
 前日・当日に 腸管内を清浄化するために、大量の下剤(腸管内洗浄液)を服用していただいても、
検査当日腸管内に食物残渣や異物が残存する場合があります。
 元来、便秘傾向がある方にその傾向はありますが、
下記のごとく、大腸内視鏡検査を行う前に注意していただきたいケースもございます

代表的な症例を供覧いたします
 野菜類、こんにゃく、果物の種、胡麻等はよく見られます(図1)。
 中華料理でのラー油を 大量に摂取すると、これもなんと腸管内にプカプカ浮いているのです(図2)。
腎不全患者さんに 服用されている 球形吸着炭製剤 これも粒状に 大量に残っております(図3)。
また貧血の治療薬の鉄剤は、錠剤としては残存していませんが、腸管内が真っ黒となっています。
胃透視のためのバリュウムこれも いけませんね 現実的には、数日残存しております(図4)。
腸管内の清浄化が得られてないと(前処置不良があると)、当然ながらより正確な診断に支障を来します
 大腸内視鏡検査のために、工夫された食事「エニマクリン」を摂るようにしてください。
 最近、「検査食はいらない」と おっしゃる方がおられますが、高品位の内視鏡を行うためにも この特別食は必要であります。
 前処置不良であると、腸管内を綺麗にするため、頻回の吸引操作をを余儀なくされたり、スコープが異物で詰まり、
 内視鏡検査を中断せざるを得ない場合も生じます。
  たとえ内視鏡が行えたとしても、結果的には、綺麗にする処置が余計にかかり、検査時間が長くなったり、
 観察が不十分となり、的確な診断やポリ−プ切除などの処置が困難となります
 後日再検となる場合もあります