大腸ポリ−プ・大腸癌 ・便潜血反応陽性


大腸ポリ−プとは?
大腸ポリ−プとは 腸の内側に いぼ状に飛び出た病変を総称して、「ポリ−プ」といいます。
 通常は良性のことを指します。 しかしながら、ポリ−プをすべて切除して、顕微鏡で調べて初めて、「ガン」と 判明する場合もあります。
 最近は出っ張りの目立たないポリ−プ、さらにはむしろ凹んでいる病変の存在が明らかにされ、ガン発生の観 点から、
注目を浴びております(「大腸にはどんな病気が・・」 ←種々のポリ−プ画像ありクリックを!)。

 数年前、米国のレーガン大統領に大腸ポリ−プが発見され、内視鏡的にポリ−プ切除したことが
大きくマスコ ミで報道され、話題となりました。
これを契機に「大腸ポリ−プ」という言葉が本邦では認知されたようです。 
そ れより前は、「ポリ−プとはなんぞや」から診察室で、患者さんに説明したものでした。
 私は、大腸ポリ−プに関 してはレーガン大統領に感謝しております。

どのようにして大腸ポリ−プを内視鏡的にとるのでしょうか?
 40才の男性に見られた大腸ポリ−プです。 訴えは健診での便潜血反応陽性で、何ら自覚症状はありませ んでした。
 盲腸まで、内視鏡を挿入し、全大腸検索致しましたところ、S状結腸に写真のようなポリ−プが発見されました (上左1番目)。 
大きさは10mmで、くびれがはっきりしております。
 ちなみにポリ−プやガンは直腸・S状結腸(左下腹部に相当します)に数多くみられますが、
次いで盲腸部(右 下腹部で肛門からは最深部)と続きます。 
従って、なんらかの理由で、大腸の途中までの観察で中断・終了し た場合は、不十分な検査であると言わざるを得ません。
 2番目の写真はスネアーワイアーという細い針金を用いて、ポリ−プの根元で縛り吊るし上げたところです。 
次いで、高周波電流を流しつつ、ワイアーで切断してしまうのです。 腸の内面には痛みを感じる神経はありま せんので、全く苦痛はありません。
 次の3番目はポリ−プの切断直後の写真です。 切断部は火傷のために白くなっております。 出血もなく、う まく切断されました。 
切除したポリ−プは回収し、顕微鏡による検査を行い、良性であるか、そうでないかの最 終判断をいたします。
 最後に切断部をクリップで縫い合わせました(4番目の写真)。 当院では術後の傷を早く治し、出血等の合併症の 予防のために使用しております。 
これらの処置(内視鏡による大腸ポリ−プを摘出する手術)は外来でなされ、 1時間ほど休んでいただきます。
その後、どのような処置をしたのか、今後注意すべきことがらを説明し、理解し て帰宅していただきました。 
術後は、順調に経過し、顕微鏡で細胞を調べた結果は、良性のポリ−プ(専門的 には腺管腺腫といいます)で治療は完了・完治いたしました。
 この患者さんの場合は、一連の処置は手際よくなされ、5−6分で終了いたしました。 
ポリ−プの大きさ、数、 部位によって異なりますが、多くの場合10分内で終了します。
 このように、内視鏡でポリ−プを摘出することを「内視鏡的ポリ−プ切除術」(ポリペクトミ−といいます)と称し、
早期のガンはこの方法で完全治癒することが確立されております


「内視鏡的ポリ−プ切除術」
(ポリペクトミ−)の実際をビデオで供覧します
2008年7月24日公開した 「ポリペクトミ−」 の動画を 修正しました
この動画は、なんと 2022年12月までに 「30,520回」も 視聴されました
大ヒット動画でしたよ 画像内容はそのまま、字幕をより分かり易くしました
解像度が低いために 少々不鮮明ですが 十分に皆さんに伝えられると思います
 いかがでしたか?! このようにして大腸ポリープを電気メスで焼灼切除しているのですよ 毎日 ビックリでしょう!!

大腸ポリ−プの実態
・腺管腺腫はガンと関係が深いと言われております。実際、腺管腺腫とガンとがミックスしていることがよく経験さ れます。
・5mm以下の小ポリ−プは60%が腺管腺腫ですが、6mm以上なると、90%は腺管腺腫です。
・ポリ−プが大きくなるに従い、ガンの合併が多くなります。5mm以下では0.2%前後とかなり頻度は低いので すが、6mm以上のポリ−プになると、数%ガンの出現があります(10mm以上では7−8%となる)。 また6m m以上になると、良性か悪性かの判断は内視鏡的に付けられるようになりますが、顕微鏡で検査して初めて明 らかになる場合もあります。
・ポリ−プのなかには、あまり盛り上がらず、地を這うように広がるものや、むしろ凹んでいるものも数多く見出さ れるようになりました。 その中には小病変にもかかわらず、ガン例が存在することも明らかになっております。
・しかしながら、数の上では6mm以上10mm前後のポリ−プが最も多く、かつ早期のガンで発見される場合が 多いのも明白なる事実です。
・たとえガン例であっても、病変の大きさに関係なく、表面にとどまっておれば、内視鏡的に病変を切除してしまう ことでガンを治癒させることができます。
・ガンやポリ−プの症状としては、血便にまつわるエピソードが多いのですが、10mm前後のポリ−プ、早期癌 例ではほとんど症状はありません。 すすんで内視鏡検査を受けるようにいたしましょう。

大腸の進行がん

 
進行ガン(全周性)の内視鏡像     
 ここまで大きくなると、何らかの症状(血便、便が細い、腹がはる、腹痛、やせ、顔色が悪い等)が現れます。 最終的には、 通過障害(腸閉塞)が起こってきます。

「便潜血反応陽性」と「大腸内視鏡検査」について
KEY WORDS: 便潜血反応陽性、大腸内視鏡検査(コロノスコピー)

 癌や大きなポリ−プは一般に表面が脆く、出血しやすいといわれております。それ故に、健診や人間ドッグに おいては、大腸癌やポリ−プのチェックのために、便の中に血液が混入していないかどうかを調べること(便潜 血反応といいます)が行われるわけです。
 最近、肉眼では見られないような微量な人の血液(文字どおり潜む血)に反応する試薬が開発され、それなり の成果があげられております。
 従って肉眼で確認できるような血便があったり、便中に微量の血液混入(便潜血反応陽性といいます)がある と癌やポリープが疑われ,大腸内視鏡検査が勧められるのです。
 ところで癌やポリープがあると必ず出血したり、便潜血反応陽性となるのでしょうか? 残念ながら必ずしもそ うではない場合があります。ポリープや癌のすべてが脆い表面をしている場合がありませんし、絶えず病変から 出血しているわけではありません。当然ながら、便潜血反応は出血していないと陽性になりませんし、たとえ出 血していたとしても出血がごく微量であったり、採取した便にたまたま血液がない場合もあります。このように 種々の状況により、病変があるにも拘わらず、便潜血反応が陰性となります。
 私が最も恐れることは、検便をやったその結果が何でもなかったので自分は大腸癌・直腸癌あるいは大腸ポ リ−プは無いと思いこんでしまうことです。
 便潜血反応検査は、数万人といった大多数、大集団を検索対象としたものであり、かつある程度大きな病変 の発見を目的としたものです。つまり、便潜血反応はあくまでも癌の可能性の高い人をふるい分ける簡便かつ 簡易な検査法であり、最終的な検査法ではないのです。
 これに対し、大腸内視鏡検査(コロノスコピー)は大きな病変はもちろんのこと微小癌や早期癌の発見に威力 を発揮する精密な検査法です。さらに他の検査法との最大の違いは発見したポリープなどをおなかの手術をす ることなく、切除できる点です。
 ところで私の「岡本平次クリニック」では大腸疾患が疑われる方は FIRST CHOICE に精密検査である無痛 大腸内視鏡検査(コロノスコピー)を専門に行っています。 最初から大腸内視鏡検査を受けていただければ、 諸問題点・懸案事項が一挙に解決するわけです。
 他の癌と同様、初期の大腸癌は症状がありません。便潜血反応陽性の方はもちろんのこと、たとえ上記の理 由で便潜血反応陰性の方も大腸内視鏡検査をお受けになることを勧めます。
     2000/8/30 岡本平次クリニック 院長 岡本平次